介護サービスを受けるには?必要な書類・認定の流れを詳しく紹介

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

高齢の家族の生活に不安を感じたとき、まず思い浮かぶのが「介護サービス」の利用ではないでしょうか。しかし、申請方法や認定の仕組みが分かりにくく、手続きが滞るケースも少なくありません。本記事では、介護保険制度の基本から要介護認定の手続き、具体的なサービス内容までを網羅的に解説します。

介護サービスとは何か?制度の基本を理解しよう

介護サービスは、加齢や病気により生活の一部に介助が必要となった高齢者や障害者が、自立して暮らせるよう支援するための仕組みです。特に、65歳以上の方や、40歳以上で特定疾病に該当する方が対象となる介護保険制度に基づいて提供されるサービスが一般的です。

この制度は、市町村が保険者となり、被保険者が保険料を支払うことで成り立っています。サービスの利用には、まず「要介護認定」を受けることが必須であり、認定の結果に応じて、受けられるサービスの種類や内容が異なります。

以下は介護保険制度の基本概要です。

区分内容
第1号被保険者65歳以上の全員
第2号被保険者40歳以上65歳未満で特定疾病のある方
保険者市区町村
財源構成保険料、税金、公費などの負担で運営

この仕組みを正しく理解することは、本人と家族が安心して生活を続けるための第一歩です。制度が難しく感じられる方も少なくありませんが、わかりやすく整理すれば、その恩恵は非常に大きいものとなります。


介護サービスを受けるための流れ

介護サービスの利用開始には、段階的な手続きが必要です。まずは、市区町村役場や地域包括支援センターにて「要介護認定」の申請を行います。この申請は本人または家族、または介護支援専門員(ケアマネジャー)でも可能です。

申請後、認定のための訪問調査と、主治医による意見書の作成が行われます。これらをもとに審査会が判定し、要介護度が決定されます。認定の結果に基づき、ケアプランの作成と介護サービスの利用が開始される流れです。

以下に、手続きの流れを整理しました。

ステップ内容
申請市区町村で要介護認定を申請
調査調査員が訪問し、心身の状態を確認
意見書主治医が意見書を提出
判定審査会が要介護度を決定(非該当、要支援1〜2、要介護1〜5)
通知結果が郵送で届く(通常1ヶ月以内)
ケアプランケアマネジャーと共に作成
サービス開始介護事業者と契約し、利用開始

この一連の手続きには時間がかかることもあるため、早めの行動が肝心です。要介護認定は有効期間があり、定期的に更新の申請が必要です。


要介護認定の結果とその後の手続き

要介護認定の結果には、以下の7段階があります。

区分内容
非該当介護サービス利用対象外、地域支援事業の活用などが可能
要支援1軽度な支援が必要
要支援2中程度の支援が必要
要介護1日常生活の一部に介助が必要
要介護2部分的に継続的な介助が必要
要介護3身体介護を含めた広範な支援が必要
要介護4〜5常時介助が必要な重度の状態

要介護度によって利用できるサービスが異なるため、認定結果を正確に理解し、ケアマネジャーと話し合いながら「ケアプラン」を作成します。ケアプランは、介護サービスの種類・頻度・時間を具体的に記載した計画書であり、これがないと公的な介護保険サービスを受けることができません。

作成の際には、本人の希望や生活環境、家族のサポート体制なども考慮され、プラン内容が利用者本人の生活に合致しているかが非常に重要です。定期的に見直しを行い、状態の変化にも柔軟に対応する必要があります。


利用できる介護サービスの種類

介護サービスは大きく分けて以下のようなカテゴリーに分類されます。

カテゴリー具体的なサービス
居宅系サービス訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリ、通所介護、通所リハビリ、ショートステイ
施設系サービス特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設
地域密着型サービス小規模多機能型居宅介護、グループホーム、看護小規模多機能型居宅介護

それぞれのサービスには特性があります。例えば、訪問介護は自宅での生活支援が中心で、入浴や排泄、食事の介助が含まれます。通所介護(デイサービス)は、日中施設で過ごしながら機能訓練や交流を図ることができ、家族の介護負担軽減にもつながります。施設系は生活の場を移し、24時間体制での介護を受けられるため、重度の要介護者に適しています。


介護サービスの費用とその負担割合

介護サービスを利用する際は、原則として1割から3割の自己負担があります。所得に応じて負担割合が変わるため、事前に確認しておくと安心です。

区分負担割合対象者
一般的な所得層1割多くの65歳以上の方
一定以上の所得2割年金収入280万円以上(単身)など
高所得者3割年金収入340万円以上(単身)など

さらに、月額自己負担額が一定額を超えた場合には「高額介護サービス費制度」により払い戻しを受けられる制度もあります。介護施設を利用する際には、「食費」や「居住費」など介護保険対象外の費用が発生することもあるため、事前に施設の費用内訳を確認することが大切です。


サービス利用の際に気をつけたいポイント

介護サービスの利用が始まってからも、定期的に状況を見直すことが重要です。特に、本人の状態が変化した際には、ケアマネジャーと連携を取り、サービスの内容を再調整することが必要となります。

また、契約するサービス事業者との相性や、提供されるサービスの質に疑問を感じた場合は、乗り換えも可能です。トラブルが生じた際には、市区町村の苦情相談窓口や、第三者機関である「介護サービス情報公表システム」などを活用しましょう。

家族と本人の意思疎通を図りながら、無理なく、そして納得できる形で介護を継続することが、介護疲れやストレスの軽減にもつながります。


まとめ

介護サービスを受けるには、まず制度を理解し、早めに申請と準備を進めることが大切です。市区町村への申請から、認定、ケアプランの作成、実際のサービス利用に至るまでには複数のステップがありますが、各段階での丁寧な対応が、その後の生活の質に直結します。今後の生活に不安を抱える方にとって、正確な情報と支援体制の存在は何よりも心強い支えとなるはずです。

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