要介護1ならデイサービスは週何回まで利用できる?ケアプランと回数の決め方を紹介

介護

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

要介護1と認定された方の多くが「デイサービスはどのくらい使えるの?」と疑問を抱きます。介護保険には支給限度額という枠組みがあり、その中で回数が決まる仕組みになっています。この記事では、デイサービスの回数目安、利用時間ごとの単位数、制度のポイントまでを分かりやすく整理してご紹介します。

要介護1の認定とは何か?生活の特徴と支援の必要性

要介護1とは、自立生活が可能でありながら、一部の生活動作において支援が必要な状態を指します。たとえば、入浴時の衣類の着脱、排泄時の誘導や見守り、調理や掃除といった家事の一部で支援が必要とされることが多いです。

この段階では、身体機能の一部に衰えがみられるものの、認知症の症状は軽度である場合が多く、本人の判断力も一定程度保たれているのが一般的です。ただし、転倒リスクや孤立による精神的ストレスも無視できないため、適切な外部サービスの導入が望まれます。

日中ひとりで過ごす時間が多くなれば、身体機能の低下が加速する可能性があります。そこで、多くの家庭で活用されているのがデイサービスです。心身の活性化を促すサービスを継続的に利用することで、状態の維持や改善が期待されます。


デイサービスは週何回まで使える?介護保険の支給限度額の仕組み

要介護1でデイサービスを何回使えるかは、介護保険制度の「支給限度額」によって決まります。支給限度額とは、国が定める月ごとの介護保険サービス利用上限額を示すもので、単位という独自の指標で計算されます。

要介護1の場合の支給限度額は、全国一律で「16,692単位(月)」です。この単位数の範囲内であれば、訪問介護や福祉用具レンタルなど他のサービスとの併用も可能です。下記の表では、デイサービスの提供時間ごとの単位数と、支給限度内での利用可能回数をまとめました。

サービス提供時間1回あたりの単位(目安)月あたり利用可能回数週あたりの回数目安
3時間未満約400単位約41回約10回
3〜5時間約500単位約33回約8回
5〜7時間約600単位約27回約6〜7回
7〜8時間約700〜800単位約20〜23回約5〜6回

この表からも分かるとおり、1回あたりの時間が長くなるほど、月内で利用できる回数は減ります。そのため、介護保険の範囲内で無理なく利用するためには、必要な支援内容に応じて利用時間を調整することが重要です。


回数の決定に影響するケアプランの存在

実際に何回デイサービスを利用できるかは、支給限度額だけではなく、ケアマネジャーが作成する「ケアプラン」にも大きく左右されます。このプランは、利用者本人の身体状況、家庭環境、支援者の有無、希望するサービス内容などを総合的に勘案して作成されます。

たとえば、独居や高齢夫婦のみの世帯では、日常の見守りや孤立防止を目的に、デイサービスの回数が週3回以上組み込まれることもあります。一方で、介護力が高い家族と同居している場合には、週1〜2回程度に抑えられるケースも見られます。

このように、個々の状況に応じた柔軟なサービス設計ができるのは、ケアマネジャーの役割によるところが大きいです。利用者とご家族は、希望や不安を率直に伝え、最適なプランの構築を目指すことが望ましいです。


限度額を超えた場合の費用と注意点

介護保険の原則負担割合は1割ですが、所得に応じて2割または3割となることがあります。しかし、月の限度額を超えたサービス利用については、全額自己負担となる点に注意が必要です。

たとえば、要介護1の限度額を700単位オーバーした場合、加算を含めた単位数に基づき、1単位あたり約10円程度(地域により異なる)の自己負担が発生します。したがって、700単位超過時の自己負担は約7,000円となります。

また、デイサービスには個別機能訓練加算、入浴加算、食事代などが別途加算されることがあります。こうした加算が重なることで、思った以上に限度額を圧迫してしまうこともあるため、月ごとの利用状況と単位消費をしっかり確認することが重要です。


他サービスとの併用で柔軟に介護負担を軽減

要介護1の方が介護保険内で最大限の効果を得るには、デイサービスだけに頼るのではなく、他のサービスとの併用が鍵となります。たとえば、掃除や調理、買い物代行などの軽作業は訪問介護に任せ、身体機能の維持は訪問リハビリで対応するというように、役割分担を明確にすることで効率的な支援が可能です。

また、福祉用具のレンタルによって、移動の安全性や入浴時の自立支援が実現すれば、デイサービスの利用頻度を減らすことも可能になります。以下の表に、よく併用されるサービスとその役割を整理しました。

サービス名主な役割
訪問介護(ヘルパー)掃除、買い物、調理などの日常生活支援
訪問入浴自宅での安全な入浴支援
訪問リハビリ筋力低下予防や歩行訓練などの身体機能支援
福祉用具レンタル手すり、歩行器、浴槽台などの生活支援機器の導入

このように、複数のサービスを組み合わせることで、支給限度額を有効活用しつつ、本人のQOL向上と家族の負担軽減が同時に叶います。


地域によって変わる単位数や加算対応の違い

デイサービスの費用やサービス内容は、全国一律ではありません。「地域区分加算」により、地域によって1単位あたりの金額が異なるからです。都市部では人件費が高いため、単位当たりの金額も高くなる傾向にあり、同じ回数を利用しても支給限度額を早く使い切ってしまう場合があります。

また、自治体独自で高齢者のための支援制度を設けているケースもあります。たとえば、交通費の助成、認知症高齢者への追加加算、市町村単位での家族介護支援金などがあります。地域により利用できる制度は異なるため、介護保険課などに問い合わせることをおすすめします。


まとめ

要介護1の方がデイサービスをどの程度利用できるかは、1回あたりのサービス時間、加算内容、地域の単位価値、そしてケアプランの設計次第で大きく変わります。一般的には、7〜8時間の長時間デイサービスで週2〜3回が限度です。

一方で、他の介護サービスを併用すれば、身体機能の維持や家事支援もカバーでき、週3回未満でも安心して在宅生活を継続することが可能になります。無理なく、無駄なく、制度を使いこなすためには、日々の介護記録やサービス利用状況の見直しが大切です。

自身や家族の状況を客観的に捉え、地域資源も活用しながら、最適な介護体制を構築していくことが、安心した老後の第一歩となるでしょう。

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