特別養護老人ホームの1ヶ月の料金目安とは?費用の仕組みと軽減制度についてわかりやすく解説

介護

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

特別養護老人ホームへの入所を検討している方にとって、1ヶ月あたりの費用がどれくらいかかるのかは大きな関心事です。本記事では、月額費用の目安や内訳、そして公的な負担軽減制度について詳しく解説します。安心して選べるよう、費用面の疑問を明確にしましょう。

特別養護老人ホームの費用はどのくらいかかるのか

特別養護老人ホームは、介護が必要な高齢者が長期的に安心して暮らすための施設です。入所を検討する際、多くの人が最も気になるのが月々の費用でしょう。特養の月額利用料は、居室のタイプや要介護度、さらに本人および扶養義務者の所得状況によって大きく変わります。平均的な費用の目安としては、おおよそ9万円から15万円前後が一般的です。

特養では、介護保険の適用により介護サービス費の自己負担が1割から3割に抑えられています。つまり、高額に感じることもある月額費用ですが、制度によって家計への負担が軽減される仕組みになっているのです。また、所得に応じて利用者負担を軽減する公的制度も整備されているため、比較的低所得層でも無理なく利用できる点が特養の大きな特長といえるでしょう。

さらに、一般的に入居時に多額の初期費用がかかる有料老人ホームと異なり、特養では入居一時金が不要なケースが多く、初期費用を抑えられることも魅力のひとつです。費用面でのハードルが比較的低いため、希望者が多く、待機期間が発生することもある点には注意が必要です。

特養で発生する月額費用の内訳とは

特養でかかる費用は、主に以下のような項目に分かれます。これらの内容を正確に把握することで、将来的な出費の見通しが立てやすくなります。

項目内容の説明
介護サービス費要介護度に応じた介護サービスの費用。介護保険適用で1割から3割が自己負担。
居住費居室のタイプにより異なる。個室よりも多床室のほうが安価になる傾向がある。
食費1日3食の食事代。全国的に定額で設定されているケースが多い。
日常生活費おむつ代や理美容代、趣味活動にかかる費用など、個人により異なる支出項目。

これらはすべて合算して請求されるため、「介護費」として一括りに考えられがちですが、実際には明確な区分が設けられています。特に「日常生活費」に関しては、利用者本人の選択により金額が増減するため、契約前に施設に詳細を確認しておくことが望ましいです。

居室タイプ別・要介護度別の月額費用目安

以下は、特別養護老人ホームにおける部屋の種類と要介護度によって、どの程度月額費用が異なるかを示した一覧です。これにより、利用者本人や家族が必要とする介護度と予算とのバランスを検討しやすくなります。

居室タイプ要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
多床室96,670円98,770円100,960円103,060円105,130円
従来型個室106,150円108,250円110,440円112,540円114,610円
ユニット型個室的多床室123,490円125,590円127,840円129,970円132,040円
ユニット型個室133,630円135,730円137,980円140,110円142,180円

この表からも分かるように、ユニット型個室では費用が高くなる傾向にありますが、その分プライバシーや生活の自由度が確保されやすいという利点があります。一方、多床室では他者との同居によるストレスが懸念されるものの、費用面での負担が少なく済むため、家計に対する影響は比較的少ないといえます。

所得に応じた負担軽減制度とは

特養では、公的制度によって一定の条件を満たした利用者の費用負担が軽減される仕組みが用意されています。中でも代表的なのが「特定入所者介護サービス費(補足給付)」と「高額介護サービス費」です。

制度名概要内容
補足給付(特定入所者介護サービス費)住民税非課税者など、低所得層に対して食費や居住費の自己負担上限額を定める。
高額介護サービス費月内に支払った介護費用が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度。

これらの制度を活用するためには、市区町村の窓口で事前に申請を行い、認定を受ける必要があります。特に「補足給付」については、本人の所得だけでなく預貯金の額まで審査対象となるため、正確な申請書類の準備が求められます。

施設側もこうした制度の申請支援に積極的に取り組んでいることが多いため、入所相談時には不明点を積極的に尋ねる姿勢が大切です。制度の存在を知らずに全額自己負担しているケースもあるため、利用可能な制度はすべて活用すべきです。

特養入所前に確認しておくべきポイント

特養に入所する前には、料金体系だけでなくサービス内容全般についても確認する必要があります。多くの施設では「重要事項説明書」や「契約書」が配布されますが、これらの書類は単に署名するだけではなく、内容を十分に理解することが重要です。

特に注意すべき点として、以下のようなものが挙げられます。

  • 介護保険適用外のサービスに関する追加料金の有無
  • 退所時の精算方法や解約時の取り扱い
  • 医療対応や緊急時の連携体制

また、施設によっては生活支援員やケアマネジャーとの面談の中で生活設計を一緒に組み立ててくれる場合もあります。自分らしい生活を継続するためにも、そうした機会を有効活用しましょう。

まとめ

特別養護老人ホームの1ヶ月あたりの費用は、おおよそ9万円から15万円の範囲で推移しています。要介護度や部屋のタイプにより金額が異なる一方で、所得に応じた公的支援制度を活用することで、実質的な負担額は大きく軽減される可能性があります。

特養の費用は単に数字の問題ではなく、利用者本人の生活の質や安心感にも直結する要素です。そのため、費用の内訳を正確に理解し、負担軽減制度の利用も視野に入れた上で、家族やケアマネジャーと十分に話し合ってから入所先を決めることが大切です。正しい情報をもとに準備を進めれば、将来への不安もぐっと軽減されるはずです。

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