介護サービスの自己負担割合は?所得別にわかる最新制度と費用の目安

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監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

介護サービスを利用する際に気になるのが「自己負担割合」です。誰でも一律ではなく、所得や世帯構成に応じて1割、2割、3割と異なります。本記事では、その判定基準や最新の制度情報、具体的な費用の目安、さらに負担を軽減するための公的支援制度について、分かりやすく解説します。

介護サービスの自己負担割合を正しく理解しよう

介護保険制度では、介護サービスを利用する際にその費用の一部を自己負担する仕組みとなっています。自己負担割合は一律ではなく、利用者の経済状況に応じて1割、2割、3割のいずれかに区分されます。これにより、負担能力に応じた公平な制度運用が可能になっています。

低所得世帯に属する高齢者の場合、負担割合は原則1割に抑えられており、住民税非課税世帯や一定額以下の年金受給者が該当します。これに対し、比較的高い所得を有する世帯には2割または3割の自己負担が求められることになります。

負担割合は年に一度見直され、「介護保険負担割合証」に記載されて各利用者へ通知されます。証書の確認を怠ると、本来より高い割合で費用を負担してしまうことにもつながるため、常に手元に保管しておくことが重要です。


自己負担割合の基準と分類(所得基準)

自己負担割合は、所得の種類や金額、世帯構成などを基に細かく分類されます。以下の表はその判定基準をまとめたものです。

負担割合所得基準の概要(年金+合計所得金額)主な該当例
1割負担非課税世帯または合計所得が160万円未満など年金受給者のみの単身者など
2割負担単身280万円以上340万円未満、複数世帯463万円未満公務員退職者の夫婦世帯など
3割負担単身340万円以上、複数世帯463万円以上現役世代並の年金+給与収入者

上記基準は毎年変更の可能性があります。市区町村から送られる証書が常に最新かどうかを確認し、疑問点がある場合は早めに問い合わせることが大切です。


介護サービス利用における支給限度額と自己負担額

要介護認定を受けると、月ごとの支給限度額が設定され、それに基づき介護サービスを利用することになります。以下は、その限度額と自己負担額の一覧です。

要介護度支給限度額(月額)1割負担2割負担3割負担
要支援150,320円5,032円10,064円15,096円
要支援2105,310円10,531円21,062円31,593円
要介護1167,650円16,765円33,530円50,295円
要介護2197,050円19,705円39,410円59,115円
要介護3270,480円27,048円54,096円81,144円
要介護4309,380円30,938円61,876円92,814円
要介護5362,170円36,217円72,434円108,651円

サービス利用時は、限度額内に収まるようにプランニングすることが求められます。超過した分は全額自己負担となります。


高額介護サービス費の上限額(軽減制度の詳細)

一定の所得水準以下の方には「高額介護サービス費制度」が適用され、月あたりの自己負担額に上限が設けられています。以下の表に、所得区分ごとの上限額をまとめました。

所得区分上限額(月額)該当条件
生活保護受給者15,000円被保険者全員が生活保護
市町村民税非課税24,600円年金収入等が一定以下
一般44,400円年金受給者+扶養ありなど
一定以上所得者93,000円所得上位20%

この制度は、介護費用が高額になることを防ぐための重要な支援制度です。対象となる場合は、必ず市区町村に申請し、払い戻しを受けるようにしましょう。


その他の軽減制度と事前対策

介護にかかる負担を抑えるための公的制度は複数用意されています。その中でも注目すべき制度をいくつか紹介します。

制度名概要対象者・条件
高額医療・介護合算制度医療と介護の合計費用を合算して年間限度額を超えた分を払い戻す同一世帯で両制度を利用している人
負担限度額認定制度特養・老健施設などの居住費と食費の軽減預貯金などが一定額以下の高齢者
補足給付制度施設利用者への生活支援として月額給付を行う要介護者で低所得者向け

これらの制度を活用するためには、早期の情報収集と必要書類の準備が重要です。制度の存在を知らずに損をするケースも少なくありません。


家族で共有すべき介護費用の全体像

介護に関する支出は、サービス利用料の自己負担だけではありません。交通費や福祉用具、住宅改修、食事代、生活雑費など、見えない部分での出費もあります。そのため、家族全体で介護費用をシミュレーションし、あらかじめ予算を立てることが不可欠です。

また、施設入所の場合は「入居一時金」や「保証金」など大きな初期費用もかかります。これらは契約時に全額前払いが求められることも多いため、介護が始まる前から準備をしておくと安心です。


まとめ

介護サービスの自己負担割合は、利用者の所得に応じて段階的に設けられており、社会的弱者への配慮が組み込まれた制度です。毎年更新される負担割合証の確認、支給限度額との整合、そして軽減制度の正しい活用は、すべての高齢者と家族が安心して介護を受けるための土台です。

少しでも不安や疑問がある場合は、地域包括支援センターや市区町村の窓口へ早めに相談しましょう。情報を得ることで、不要な出費や制度の見落としを防ぐことができます。

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